ウコギ属の植物は、東南アジアや日本を含め約30種が自生しています。いずれも低木か亜高木で、茎や枝にはとげをもつものと、もたないものがあります。
葉は掌状のものが多く、根茎は塊状のものが多くみられます。わが国に分布する種類は裁植種を含め7種です。
オカウコギは本州の暖地および九州に多く自生しています。ウラゲウコギは本州近畿以西、九州に多く自生しています。ケヤマウコギは全国各地に分布する数は少なく、ウラジロウコギは本州の一部と四国、九州の深山に自生しています。ヤマウコギ(オニウコギ)は本州の山野に広く分布、比較的数も多いです。エゾウコギは北海道の東北部に自生していますが、濫採され激減しています。温暖地での栽培は、夏季の高温多湿に順応できず徒長します。ヒメウコギは中国東北部の原産で、千余年前の平安時代にわが国に薬木として渡来しました。当初は温暖な地方で広く栽培されていたが、次第に消滅したなかで、山形県米沢市のように藩政時代から伝統的にうこぎ垣の保存が行われている地域は特筆される。
以上7種のウコギ属植物のなかで利用されているのはヤマウコギ、ヒメウコギ、エゾウコギの3種です。しかし、オカウコギ、ケヤマウコギ、ウラジロウコギ、ウラゲウコギの4種についても科学の進歩した時代であり、将来の利用開発が待たれます。
ヒメウコギが根を薬用としたことは、「原産・来歴と利用の歴史」で述べられています。
ヤマウコギは、比較的多く山野に自生し、馴染み深く葉を食用にしていましたが、ヒメウコギにおされ、その需要が減少しました。しかし、生け垣利用を含め魅力を秘めた植物です。
エゾウコギの根茎には、高貴な薬効成分が発見され、今後も利用は続くことでしょう。